第43回日本医療福祉設備学会 一般演題優秀発表賞 受賞にあたって

受賞演題
  「健康維持・回復力を高める照明計画

手塚 昌宏 氏
(株式会社YAMAGIWA クリエイティブ局 医療福祉施設担当)

 この度は、第45回日本医療福祉設備学会「一般演題優秀演題賞」にご選定頂き誠にありがとうございます。照明計画デザインの分野で思いもかけずこのようなご評価を頂きましたことに大変嬉しく思います。この場をお借りして、これまで医療福祉建築環境に関し、ご指導頂きました皆様方と現場計画で共に仕事をさせて頂きました方々に心より感謝申し上げます。照明は単に空間を明るくすることだけでなく、生理心理や人の行動に大きな影響を与え、健康維持・回復力を高めるために大切なものです。その照明効果を有効に活用することは、医療福祉環境ではとても重要になります。光環境でストレスを与えることなく、その環境を使用するすべての人にとって、不快で行動を妨げる照明環境であってはいけないと考えています。ヘルスケア環境の照明が精神や生体に及ぼす効果を考慮し、その環境を使用するそれぞれの視点から、照明の持つ力を有効に活用されることを願い、今後も健康的な照明環境の実現に向けて努力してまいります。

受賞演題
  「抗がん剤の曝露防止 
    ―トイレの清掃やリネン類の洗濯等について―

串田 一樹 氏
(昭和薬科大学 薬学部 地域連携薬局イノベーション講座)

 この度は、第45回日本医療福祉設備学会一般演題優秀演題の栄誉を賜り、大変光栄に存じます。受賞にあたって、共同研究者として医薬品情報をまとめていただいた本学研究生の石川 星氏、発表内容にご助言をいただきました昭和薬科大学廣原正宜教授に心より感謝申し上げます。
 抗がん剤はがん治療には欠かせない医薬品ですが、一方で毒性も高いことから適正な管理が求められています。適正な管理をするためには、抗がん剤のリスクとは何か、そのリスクがどこに存在するのか、そのリスクを効果的に防御する方法などについて、すべての職員が共通の理解を持つ必要があります。
 病院のアウトソーシングが進んできたことから、抗がん剤のリスクについて、病院職員だけではなくアウトソーシングの職員にも共通してリスクマネジメントの必要性があります。そのためには、リスクマネジメントの情報が病院サービスに関わるすべての関係者に共有されることが急務と考えていますので、今後、さらにリスクコミュニケーションの輪を広げていきたいと考えています。

受賞演題
  「療養環境改善を目指した
     伸縮型ベッドサイド家具の産学官連携開発

原田 路可 氏
(徳島大学病院 看護部)

 この度は、一般演題優秀演題賞をいただき、ありがとうございます。共同開発で尽力賜りました株式会社板久様ならびに徳島大学病院の関係各位に心から感謝申し上げます。
 超高齢化社会を迎えるに当たり、病院のベッドサイドで家族が使用する椅子などのベッドサイド家具の充実が急務となっています。そこで、地元企業との医工連携・地域連携・産学官連携によって、徳島大学のシーズを活用し、ベッドサイドの広さや人数に合わせ簡単にサイズ調整が可能な伸縮椅子型ベッド(中小企業・小規模事業者ものづくり・商業・サービス革新事業、経済産業省、平成26~27年)と、この椅子型ベッドと収納家具が融合した多機能伸縮型ベッドサイド家具(とくしま経済飛躍ファンド事業、とくしま産業振興機構、平成28年度)を開発しました。ラピッドプロトタイピングやイノベーション対話ツールを活用し、患者さんや家族と触れ合う機会の多い看護師の意見を中心に現場のニーズを抽出することによって、企業側・医療側・ユーザー側の3つの視点からの迅速な開発が可能でした。今後、ベッドサイド家具の充実による療養環境の改善を進めていきたいと考えています。