受賞して

田口 重裕氏(株式会社三菱地所設計)

受賞演題「病院BCP を支援するFMツールと活用

病院BCP ツールの更なる実用性に向けて

この度、第41回日本医療福祉設備学会一般演題において過分なる優秀発表賞を頂き大変光栄に思います。本研究に携わった日本ファシリティマネジメント協会ヘルスケアFM 研究部会メンバーの励みになると共に、ご協力を頂いたご関係者の皆様に大変感謝致します。
今回は災害時における病院活動の全体像を総合的に把握する自院トリアージのためのFMツールをご提案させて頂きました。本ツールを用いた東日本大震災での被災病院調査検証では、防災力のある拠点病院でも発災直後は被災により活動レベルが低い状態で多くの患者に対応しており、また、その様相も病院ごとに異なっておりました。このことは、病院BCP は病院ごとの特性に合わせた個別の対応が必要であることを明らかにしました。
今後は本受賞を契機に、被災事例検証を進め活動要因の因果関係を明らかにし、平常時からの運用による実践的な病院BCP 策定など、更なる実用性に向けて努力したいと考えます。

 

田中 英紀氏(中部大学工学部建築学科)

受賞演題「病院空調設備に対する気化式加湿空気の衛生的評価

一般演題優秀発表賞に選ばれて

この度は、第41回日本医療福祉設備協会の一般演題優秀賞の栄誉を賜り、大変光栄に存じます。本論の成果は、研究連名者との協調ならびに多くの方々からのご指導・ご支援によって得られた成果でありますので、関係各位には、改めて心より感謝の意を表したいと思います。
受賞演題である「病院空調設備に対する気化式加湿空気の衛生的評価」は、病院・医療施設の空気調和設備に対する、エネルギー利用の合理化を図る手段の選択肢拡大を念頭に行った試験調査研究であり、気化式加湿器を搭載した空調加湿空気の衛生上の特性を考察したものです。本論では、3年にわたる継続的な長期運用試験をもとに、機器納入時から日常運用段階に至る各運用フェーズや季節毎(シーズンイン・アウト含む)、さらには空調空気をより清潔に保つための運用上の対策毎に、その特性を丹念に調査・考察しており、この結果をもとに充実した情報を提供できたことが、今回の受賞に繋がったのではと考えております。
本論で導いた一考察が、今後の病院空調設備設計に対する、有用なエビデンスの一端を担うことを期待しております。

 

松本 正太朗氏(国立成育医療研究センター)

受賞演題「小児専門医療施設における電力供給体制の整備

停電シミュレーションの重要性

この度は、第41回日本医療福祉設備学会一般演題優秀発表賞という、過分な評価を頂き、誠に有り難う御座います。今回の賞を頂けましたのは、訓練停電に対する、当院の医療職・技術職・事務職など全ての職員の準備と協力の賜物です。この場をお借りしまして御礼申しあげます。訓練停電のモデルがないなかで患者への影響なく施行可能であったことは、段階的施行と綿密な事前準備によるものと考えています。本訓練の施行により、商用電力遮断により初めて可能となるメンテナンスや問題点抽出が可能となり、当院の電力供給体制整備の進展に大きく寄与しました。2011年の計画停電時、各病院で準備されているマニュアルの多くは機能せず、混乱が生じたと報告されています。停電マニュアルを始めとしたBCP は、シミュレーションによる実効性の検証と継続的な内容改善を持って初めて効果的となり得ます。今後、さらなる検証作業により、当院の持つ社会的責任を果たす準備を整える所存です。
同時に多くの医療福祉施設におきましてシミュレーションによる検証が進められること、本発表がその一助となることを願っております。